山ゆりの遠いところに咲くような…(吉川宏志) 

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みかみ凜
山ゆりの遠いところに咲くようなやさしさに会い夜半(よわ)に苦しむ 
吉川宏志/『曳船』H18

吉川宏志さんの『曳船』より。
なんて狂おしい恋の歌だろう。
夜という時間は、人を冷静にも、狂おしくもさせる。

日中に起きた出来事を、冷静に振り返るのは夜である。
また、日中の淡々としている自分を、高揚させるのも夜である。
掲出歌は、その両方がないまぜになって渦巻いているようだ。

山ゆりのようなやさしさとは一体どんなやさしさだろう。
しなやかな白い花弁と濃厚な甘い香り。そして自生している強さ。
一見たおやかな感じだけれど、芯の強さが感じ取れるものかもしれない。

夜。
ふと、そんな女性のやさしさを思い返す。
それはもはや、とても遠いところに咲く花でのようである。もう、触れることも近づくこともできない。冷静に距離を測る。
しかし、その美しいやさしさを一度だけ知ってしまったばかりに、狂おしさは募るばかりである。

甘さと強さに乱れる心と、現実を測る心。
夜半という時間は、遠くを想う人にとって、とても苦しい時間なのだ。

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みかみ凜
Posted byみかみ凜

Comments - 2

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すずめ  
お久しぶりです

みかみさん、初めてお邪魔しました。すずめです(おぼえていらっしゃいますか)
実は、以前我がブログにコメントいただいたとき、こちらへリンクされていることにまったく気付かず今日までおりました。
たいへん失礼しました。

好き勝手に歌詠み、散文を書いている我がブログに対して、こちらは本格的に観賞しておられ、とても勉強になります。

山ゆりの遠いところに咲くような・・・の歌。
好きです。
誰にも心当たりのあるような甘い苦しみです。

またお邪魔します。

2011/11/28 (Mon) 22:25 | EDIT | REPLY |   
みかみ  
すずめさん、こんばんは!

すずめさん、お久しぶりです!!
なかなかお話する機会もなかったので、来ていただけてうれしいです。

私から見れば、散文を書いて歌も詠めるなんてうらやましい限りですよ。
すずめさんのお歌、日常に沿いつつもハッとするポイントがあって大好きです。

私のほうも、ブログにまたお邪魔させてくださいね。

2011/11/30 (Wed) 01:50 | EDIT | REPLY |   

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