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きみが手の触れしばかりにほどけたる…(今野寿美) @現代短歌の鑑賞101

きみが手の触れしばかりにほどけたる髪のみならずかの夜よりは  
今野寿美/『花絆』S56

髪の毛に触れられる。そんなことで恋愛が後戻りできない地点まで来てしまう。
冷静に見ればありえない。
けれど、その瞬間までの間に見えない幾つもの積み重ねがあったのだろう。
それが、しっかりと結った髪が何かのちょっとした力でほどけるように、一気に広がっていったのだ。

恋愛の1つのターニングポイントが、こんな些細なところから発してしまうこと。
そして、発してしまえば逆戻りすることは出来ないこと。
そんな人間の身体感覚と感情の不可思議。
掲出歌はそんな恋愛のどうしようもない原理的な部分を詠んでいる。 

始めから終りまで淡々としている恋愛はない。
誰もが奥深くに恋愛を恋愛たらしめたポイントをもっているだろう。
掲出歌がそれを刺激するのだ。
髪に触れられた恋の始まりを私たちはもっていなくても、まるで自分が経験したことのように共感できてしまうのだ。
それは、短歌が触れる心の琴線が、意外と深い原理的な部分に繋がっているからかもしれない。


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