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ネックレスの真珠散りしは小変事…(富小路禎子) @現代短歌の鑑賞101

ネックレスの真珠散りしは小変事なれど隣国の乱の夜なれば 
富小路禎子/『不穏の華』H8

女性の持つ第六感というものは特に得体がしれないものだ。
たとえばそれは掲出歌のようなものである。

ネックレスの糸が切れて、真珠が散り散りになる瞬間。
そのはっと息をのむ一瞬に、何かが決定的に変わるのだ。
もう静かに連なっていたネックレスの姿には戻れない。

なんて。
大げさに書いたけれど、結局はネックレスの糸が切れただけのことなのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。

でもその時、テレビで隣国の戦のニュースが流れてきたのだろうか。
するとこの小変事が、ふと現実の出来事とリンクしてくる―――

だけど、乱の夜なれば、危ういのか?不穏に感じるのか?
言いさしておいて、その先はない。
ネックレスが切れたことと、隣国の乱は理論的にはつながらないから、言いさしておくしかできないのだ。

それはなんて女性的な言いさしだろう。
直観的で、非論理的で、だけどすさまじい説得力を持っている。
短歌という器は、その非論理的な説得力を盛ることができる詩形なのだ。


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- 2 Comments

なりひら  

女性の第六感

この短歌は、自分の小さなアクシデントと、隣国の大きなアクシデントを比べるという面白い短歌だなと思いました。妻の非論理的な予想が当たることがあり、女性の凄味を感じてしまいます。

2012/04/01 (Sun) 16:37 | EDIT | REPLY |   

みかみ  

Re: 女性の第六感

この歌の対比、印象的ですよね。女性のふとした時の感覚を掬い上げてるなって思います。
それにしても女性の凄味…不思議ですよね~。こういう感覚の正体が何かのかは女性自身もわかりませんが…

2012/04/03 (Tue) 14:02 | REPLY |   

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