うたよむブログ

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夕焼のにじむ白壁に声絶えて…(前川佐美雄) @現代短歌の鑑賞101

夕焼のにじむ白壁に声絶えてほろびうせたるものの爪あと  
前川佐美雄/『捜神』S39

叫びが聞こえる。
初めてこの歌を読んだときそう思った。
「声絶え」たあとの逆説として、痛切な叫びが聞こえたのだ。

夕焼けに照らされた白い壁に、絶滅した“何か”の爪あとが残っている…のではない。

夕焼けは白い壁にじりじりとにじんでいて、内部まで侵食しているようだし、
勢いのある爪あとは、獣的で、その隆盛した時代を思わせる激しさがある。
…そう感じた時、一瞬、ぐわっと牙をむき出しにして叫ぶ獣がイメージとして降りてきた。

つまり、すべてが現在形なのだ。
過去の隆盛も、現在の夕焼けも、「爪あと」ひとつでシンクロしていくのだ。

私たちは現在を生きている。
そして、声絶えたものは過去のみを生きているのか?
いや、それだけではないはずだ。
現在、過去…時間軸を一気に取っ払うシンクロする瞬間があるはずだ。
あるいはそうあってほしいと、祈りのように叫んでいるのが掲出歌なのかもしれない。


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