うたよむブログ

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東京に負けた五郎の帰り来て…(笹公人) 

東京に負けた五郎の帰り来て大工町の名はまた保たれる 
笹公人/『抒情の奇妙な冒険』H20

都市は地方から人を引き寄せる。
地方はしたたかに都市から人を迎え入れる。
都市と地方のおかしな差異が如実に表れた歌で、ちょっと笑ってしまった。

きっと五郎は志高く上京したのだろう。
だけど夢は破れた。
そのくやしさ、失望、自信の喪失。

しかし肩を落として帰郷する五郎とは反対に、なんだか大工町の人々はうれしそうである。
よくぞ帰ってきてくれた!
これで大工町も安泰だ!
と。

大工町の名は“また”保たれる…
大工町の人々は知っているのだ。
夢破れた悔しさも含めすべてがこの町で活かされるであろうことを。

ところで、この歌は歌集の解説にもある通り、寺山修司の
 大工町 寺町米町 仏町 老母買ふ町 あらずやつばめよ
という歌が下敷きになっているようだが、だいぶ町の立ち位置が違う。

大工町…Wikipediaで見て驚いた。
全国に大工町なる場所はものすごい数存在するのだ。
つまり掲出歌の大工町は、日本の地方そのものの代名詞とも言えそうだ。

地方はしたたかに都市から人を迎え入れる。
それは次々更新されていく都市とは対照的に、積み重ねて培われてく地方文化の原型かもしれない。


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