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人はみな慣れぬ齢を生きている…(永田紅) @現代短歌の鑑賞101

人はみな慣れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天  
永田紅/『日輪』H12

子どもの頃に漠然と思い描いていた年齢像がある。
二十代はこんな感じ、三十代はこんな感じ……八十代はこんな感じ…。
それは今の年齢よりもっとずっと完璧でしっかりした大人のイメージだった。

でも実際はいくら齢(よわい)を重ねても至らないことばかりで、とてもその年齢像に近づいているとは思えない。
無邪気な年齢像と現実の差はなかなか埋まらない。

そして、掲出歌を目にした時、それに対する微かな開き直りが生まれた。

経験したことのない、そして二度と経験できない齢を、毎年繰り返していくこと。 
歌の「わたし」はそのたどたどしさを感じながらも、俯くのではなく空を見上げる。

「空」と聞いてイメージするのは青空だけど、実際は灰色の曇り空。
まさにこの齢のイメージと現実の差異そのものだ。
そこを毎年の光景として渡り鳥であるユリカモメがゆったりと飛んでいく―――

見上げる「わたし」のその姿勢は、諦めやしょうがなさの表れではなく、無論向上心のためでもなく、現実を受けいれるという今への許しとして映る。
それはなんてやさしくて強い余韻だろうか。


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- 2 Comments

なりひら  

DNA・・

永田紅さんの歌、亡きお母様の歌とは趣が異なりますが、DNAを感じます。

2013/02/16 (Sat) 12:53 | EDIT | REPLY |   

みかみ凜  

Re: DNA・・

そう言われてみれば、確かにそうですね。生きている感触…と言えばいいのかな、空気が伝わってきますね。

2013/02/18 (Mon) 00:44 | REPLY |   

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