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一夜きみの髪もて砂の上を引き摺りゆく…(河野愛子) @現代短歌の鑑賞101

一夜きみの髪もて砂の上を引き摺りゆくわれはやぶれたる水仙として 
河野愛子/『鳥眉』S52

狂気とは、なんて女性的な衝動で、醜くまた艶めかしいものだろう。
裏切り、嫉妬、別離・・・
狂気の引き金は、どこにあるかわからない。
普段はそのスイッチが自分自身の中にある事すら気付くことはない。
だけどそのスイッチが入ってしまったら、もう自分では制御不可能なのだ。

掲出歌の狂おしい詠みぶりは、上の句で頂点に達し、下の句で静かにフェードアウトする。
そしてこの歌は、下の句があるから読者がついていける歌だと思う。
上の句だけでは恐怖があるだけだ。

では、私たちを引き留める、下の句の「やぶれたる水仙」とはなんだろう。
そこに、狂気が女性的な衝動である所以があるのかもしれない。


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