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ふるさとを去らぬは持たぬことに似て・・・(大辻隆弘) @現代短歌の鑑賞101

ふるさとを去らぬは持たぬことに似て九月 素水をつらぬくひかり  
大辻隆弘/『ルーノ』H5

生まれ育った地を、「ふるさと」と感じるには、一度はその土地を離れる必要があるのかもしれない。
たしかに私も、故郷を離れて、「ふるさと」ということを意識しだした。
もちろん、住んでいるときも好きな土地だったが、そう、好きなだけで、郷愁はない。
その土地の外に立った時に、初めて見える美しさと感情に訴えてくる土地の力があるのだと思う。

さて、掲出歌。
ふるさとを去らないことは持たないことと似ているという。
この部分は季節にたとえると下記のように言い換えられると思う。

夏が終わらないことは夏がないことと同じ…

夏の前に冬があるから、夏が終わって秋に変わるから、夏はよく映るのだ。
一生夏が続いたら、ここまで良さを見出せはしないだろう。

ふるさともまた、その土地とは違う土地に行き、異質な部分を心に触れさせることで、輪郭を現すのだろう。

九月。
夏気分の空間に、秋の風が交る時期。
異質なものが紛れ込み、夏を懐かしく思うようになる。

その中にあって素水は光をつらぬいてゆくという。
混じりっけのない純水は、異物がない故になにも反射しない。輪郭は出てこないのだ。

でもそれは美しい。

この歌はそのような、故郷を出ず、その土地にずっと居続ける方を選んだ人の歌のなのだろう。



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