こおろぎの声ほろびしと思うとき…(玉井清弘) @現代短歌の鑑賞101

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みかみ凜
こおろぎの声ほろびしと思うとき水みたすごと夕闇はくる /玉井清弘『久露』


玉井清弘さんのうたは、描写は写実的なんだけど、感覚に通じるものがあって大好きです。

このうたもそのひとつ。ふと、こおろぎの声がやんだと気づいたとき、空を見上げたら夕闇が迫っていた・・・。
「水みたすごと」という部分で、さわわわ~・・・と空の色が流れるように変わっていく感じがします。

上句で読み手は、こおろぎの鳴き声を耳でイメージして、そして鳴きやんだ静寂の空間に身をおく。
その上で「水みたすごと」・・・と下句が来ると、身体が湿り気と涼やかさに満たされる感覚を覚えるのです。

もちろん実際はそんなに一気に色は変わらない。だからきっと記憶にあるついさっきまでの青空、そして、今見上げた夕闇。その差を認識上ですぅっと埋めていく様子を表したのでしょう。

とってもきれいなうたです。

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みかみ凜
Posted byみかみ凜

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