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ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば・・・(宮柊二) @現代短歌の鑑賞101

ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば声も立てなくくづれをれて伏す  
宮柊二/『山西省』S24

初めてこの歌を目にした時、ぞくりときた。
戦争で人が生き抜くためには、心を殺さざろうえなかったのだろうか。
そう思った。 

上句「ひきよせて寄り添ふごとく」という部分は表現としてあたたかい。体温がある。
しかし、おおよそ今から刺す相手を前にした時の喩ではない。
「仕留めるぞ!」という意気込みも
「いいのだろうか…」という悩ましさも感じられない。
つまり、感情はもう殺されていたのだろう。

無感情な中、ただ引き寄せ、ただ人の体温が伝わってきた。
それが三句目で一気に展開。下句では血の気のないものとなる。
そのはかなさ。
悲しみも、喜びも、疑問すらない。
一首全体がスローモーションのようだ。

しかし、疑問がないことが逆に、心の泣き声のようにわんわんと迫ってくる。
戦争の歌として、この歌は非常に重く、辛い。



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