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をさなさははたかりそめの老いに似て・・・(大塚寅彦) @現代短歌の鑑賞101

をさなさははたかりそめの老いに似て春雪かづきゐたるわが髪  
大塚寅彦/『刺青天使』S60

髪にかずくほどの雪。
春とはいえ、その日は急に冷え込んで冬に戻った日和だったのかもしれない。(今日みたいに)
その雪を白髪に見立て、「かりそめの老い」と詠む若い青年。
その感性は青年のものである。

しかしこの視点、老いた側から見ても、また同じことが言えるのではないか。
特に介護を要する老いに接すると、彼らに幼さを感じることがある。
むろん、話をして行けば、私なんかがとても及ばない程の重層的な人生を抱えているのだが、
記憶が薄らいで出る無邪気さは、子供の無邪気さそのものなのだ。
いわば、老いはかりそめのおさなさ、である。

ここで、春と冬の輪廻の境目を見ることができる。
春は紛れもなく新生の季節で、若者を象徴する季節でもあるだろう。
一方冬は、老いとその先の死そのものを象徴するだろう。

しかし、新生は突如現れるのではなく、冬を経た結果である。
同じように死は終焉ではなく、地続きに芽吹く春がある。

この掲出歌の「春雪」は、まさしくその春と冬が重なった瞬間なのだと思う。

 
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