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森の奥に水湧きをり森の奥に・・・(松平修文)

森の奥に水湧きをり森の奥に雲湧きをり森の奥に蝶湧きおり  
松平修文/『夢死』H7

松平修文さんの『夢死』より。

絵画が完成していくように世界が出来上がっていく歌の美しさ。
森の奥に水が湧くことから始まって、空を、命を巻き込んでいく。
特に蝶の部分は、森の底から青い揚羽蝶が一斉に湧き上がる美しい情景が浮かんだ。

深山という言葉がある。
人が生活をする山を里山と呼ぶなら、深山は人間が介入できない神の領域の部分である。
この歌に出てくる世界もきっとそういう領域の情景なのだろう。

ところでこの掲出歌、完全に破調の歌だ。短歌として読んでいくと…
 森の奥に水湧きをり森の奥に雲湧きをり森の奥に蝶湧きおり

まず、少しの破調で「森の奥に水湧きをり」を読む。
続いて「森の奥に雲湧きをり」で調子が崩され、
さらに「森の奥に蝶湧きおり」にきては、もう五七調のリズムはなく、
ダーッと読み下してしまう。
このいびつな感じが、雲や蝶がワフッ…ワフワフッ…と湧き出るダイナミックさと重なってくるのだ。

多分これが詩であれば、きちんと三つに区切ってさらりと読んでしまうだろう。
短歌だからこそ、深山の世界に体感を持って踏み込める。
そんな短歌の魅力を知った歌だった。


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