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サンチョ・パンサ思ひつつ来て何かかなし…(成瀬有) @現代短歌の鑑賞101

サンチョ・パンサ思ひつつ来て何かかなしサンチョ・パンサは降る花見上ぐ  
成瀬有/『遊べ、櫻の園へ』S51

春の憂いを感じさせる歌だ。

サンチョ・パンサは、『ドン・キホーテ』に出てくる、破天荒であるドン・キホーテの従者で、まっすぐな人物だ。
下句は主語がサンチョ・パンサだが、きっと彼になぞらえた「私」自身だろう。
そこに風が吹き、ふわぁぁっと花びらが舞ってくるのを見上げているのだ。
きっとこの花は桜だと思う。

サンチョ・パンサのような愚直な心を持ったまま、どのような象徴としての桜を見上げ、受けたのか。
解釈はいくつかできるだろう。
日本人に根付いている散るのを惜しむ心か、諸行無常か、武士道か…
作者の意図を越えて、歌は色々な表情を持ってくる。

でも何でだろう。
ひとつの解釈を文字にすると、なぜか歌から受けた感覚からますます遠ざかって行くのだ。
ただ愚直に歩いてきて、降る花を見上げた…だけで完璧で、最も心に沿う。

短歌では伝えられて、文章にはできない何か。
そういうものがこの歌には潜んでいると思う。


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