夕雲に燃え移りたるわがマッチ…(葛原妙子)

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みかみ凜
夕雲に燃え移りたるわがマッチすなはち遠き街炎上す /葛原妙子

ハッとするような美しい歌だ。

マッチを擦って燃え上がる炎が、夕焼けにつながって、遠い街の炎上を幻視する。幻想的な歌だ・・・とも思う。
でも、初めてこの歌を読んだ時は、写実っぽさを非常に感じたのだ。
もちろん、街が燃えているわけではないけれど。

マッチを擦ってついた火を眼の高さに持ってくる。
視点は炎。

その時、炎は視野の大半を占める。その背景に、夕暮れの街が小さく遠くに見えるのだ。
炎が中心の視野では、模型のようにさえ見えるその町に炎が被さって見えるのだろう。

情景を絵画として思い浮かべると、この歌の意味が一層引き立つように思う。
三次元から二次元に無意識に空間をすり替えてしまう瞬間の不可思議さを意識的に掬いとった歌のように感じる。



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みかみ凜
Posted byみかみ凜

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